【Hollypro News 24 号外】映画「ミッシング」ロケの裏側

Hollypro news 24 に掲載しきれなかった映画「ミッシング」のロケの裏側をもっと詳しくお伝えします!!

ロケ地探し

 2024年5月17日に公開された映画「ミッシング」ですが、初めに話が来たのは2023年の1月初めでした。「ヤクザと家族 The Family」で制作に入っていた方から電話をいただき、𠮷田恵輔監督の新作映画を沼津辺りで撮れないかとの話。主演は石原さとみさんで出産後初の主演作。

 舞台は架空の街設定。内容は行方不明になった少女を探す家族とその周りの人たちを描くオリジナル作品とのこと。ロケ地にみかん農園や漁港があり、ある程度広い駅前がある街なので沼津なのかなと。しかし、沼津のみかんは12月には収穫してしまい、撮影のある4月後半~5月にはみかんはなっていません。後々監督たちと話しているうち、どうも以前撮影したことがある街(蒲郡)を想定して脚本を書いているよう。そこではハウスみかんを栽培していてこの季節でもみかんの収穫があり、他の地区でも同じようなことをしているものと思っていらっしゃったようです。しかし、沼津では撮影時にはみかんはないのでみかん農家に関しては他地区をあたることに。

 家、アパートは不動産をあたるのと裾野に振り、生コンクリート会社は知り合いの建設会社の方に相談し伊豆市の会社を紹介され、公民館は当初広い公民館を制作に紹介していましたが、監督から狭い方がいいとのご希望で振り出しに。公園も撮影実績のある特徴的な公園をいくつかピックアップしましたが、これも監督のご希望に合わず。自動車整備工場も知り合いのところを紹介しましたが…。久々に難しい案件でした。

 監督ロケハンを行い徐々に撮影場所が決まっていく中、難航した物件がいくつか出てきました。立ち飲み屋、居酒屋、自動車整備工場等々。そもそも立ち飲み屋が沼津には無い(知らないだけ?)。近隣市町まで探しましたがいいところが見つからず、結局他の場所へ持って行くことに。居酒屋、自動車整備工場も沼津市内のお店では監督のご希望に合わず、これは富士で決まりました。

 メインロケ地が沼津と決まってロケハンしていくうち、当初は架空の地方都市の設定だったところ監督が一言「いろいろ消すのが大変だよね。もう設定は沼津でいいんじゃない」という話になり、この映画の舞台が沼津と決まりました。ありがたい話です。

クランクイン

下香貫のアパート/圭吾を取材する地元テレビ局・記者の砂田

クラインクインは2023年3月23日(木)裾野の民家の撮影からでした。沼津は翌24日(金)が初日となります。ここは圭吾(主人公沙織里の弟役 森優作さん)のアパートの設定で、下香貫のアパートの1室を借りて撮影。このアパートでは何日か撮影がありましたが、室内での撮影が主なので私は立会いませんでした。

沼津・高尾台公園で、石原さとみさん沼津初撮影

高尾台公園/イメージカット

25日(土)の撮休を挟んで26日(日)は高尾台にある高尾台公園(通称かぶとむし公園)での撮影を予定していましたが、雨により28日に順延しこの日も撮休に。27日(月)は裾野の団地で撮影。翌28日(火)は順延になった高尾台公園での撮影。朝方雨でしたが撮影が始まる11時前には雨は止んでいました。この高尾台公園はかぶとむしの遊具(滑り台)があることでかぶとむし公園と呼ばれています。私も来たことはありましたが撮影では初めて。よく見つけてきたなあ…。

 ここが沼津で初めて主役の石原さとみさんの撮影となりました。石原さんはテレビで見る華やかな印象と違い、髪はぼさぼさで、やつれた雰囲気に役作りされていました。

 沙織里役の石原さとみさんと娘の美羽役の有田麗未さんが公園で遊んでいるイメージカットを撮影後、砂田役の中村倫也さん率いるテレビクルーが沙織里と圭吾を取材するシーンを撮影しました。

沼津駅北口ロータリーで、多数のエキストラが入ってのビラ配りシーン

沼津駅北口ロータリー/行方不明の娘を探してビラを配る沙織里と夫の豊

 29日(水)は沼津駅北口で沙織里と夫の豊(青木崇高さん)が行方不明になった娘のビラを配るシーンの撮影を行いました。このシーンではエキストラを150人入れたいとの話がありました。当日はハリプロからは約40人、他も含めて約135人ものエキストラが集まりました。

 撮影は沼津駅北口のロータリー広場を使って大々的に行われました。ロータリー傍で沙織里と豊がビラを配っているその周りでエキストラは通行人役です。何カ所かに人数分けて配置していますが、スタートの合図で歩き出してカットが掛かっても最後尾の人が動いていない状態。歩く順番をシーンごとに代えたりして何とか撮影しました。北口全面を使った割には大きな混乱もなく撮影終了。この北口での撮影はあと1回あります。

狩野川の河口で、アザラシを追う砂田

 狩野川河口/アザラシを追う砂田?のシーン

  30日(木)は午前中裾野市で2ヵ所撮影し、昼過ぎに富士の定食屋で撮影したあと沼津の狩野川土手での撮影というスケジュール。この𠮷田組、撮影がいつもスケジュールより早く進む。この日は夕景狙いで17時撮影開始ですが、前の富士の撮影が終わって沼津港に撮影隊が来たのが14時頃。3時間以上時間が空いてしまいました。この空き時間で撮影スタッフは各々沼津港を満喫。監督は深海水族館に行かれたりしていました。

 夕方、狩野川の河口の砂が堆積した部分で撮影開始。砂田とカメラマンが河口付近に向けてカメラを構えている。ここの台本の概要は「アザラシを追う砂田」。ん、アザラシ?よくわからないシーンの撮影でしたが、本編を見て納得。小ネタがすごい。

 撮影は夕景狙いで一番いい日の加減を撮るため中々始まらない。普通はピリピリしそうですが、時に笑いが起こるほど余裕がある。𠮷田組はすごく雰囲気がいい。かなり河川敷で待ちましたが、撮影は問題なく終わりました。その後、撮影隊は夜のシーンの撮影のため、裾野に向かいました。

豊の職場、内浦漁港で

内浦漁港/漁業組合事務所の撮影

 31日(金)は夫の豊のシーンを主に撮影。朝は内浦漁港、その後裾野に行って最後は富士で見つけた自動車整備工場に行きました。まず、内浦漁港での撮影。荷捌き所の事務所を借りて漁業組合事務所として撮影。このシーンが終わったら荷捌き所で豊が働いているシーンを撮りました。エキストラで漁協の従業員に出演していただきました。このシーン、実際の撮影では内浦漁港を使っていますが、台本上は静浦漁港となっています。事務所の前の看板も静浦漁港。元々静浦漁港を想定して進めていたことが急にロケ地が変更になったためこのようなことに。この映画「ミッシング」の沼津市内の撮影で唯一場所と名前が違っているところです。
 翌4月1日(土)は裾野の市役所や学校での撮影でした。

圭吾の職場とミキサー車

伊豆市・生コンクリート会社/圭吾(右)と同僚

 4月2日(日) は伊豆市の生コンクリート会社での撮影でした。ここは知り合いの建設会社に紹介してもらった会社。全面協力してもらい会社名もそのまま出してもらっています。この生コンクリート会社は圭吾が勤めている設定。事務所で撮影したり、ミキサー車の洗車場で撮影したり。後日にはミキサー車の走行シーンにも協力してもらいました。ここを終了して三島の病院で撮影し、最後が富士の居酒屋でした。

 3日(月)は伊東市のみかん農園、4日(火)の撮休を挟んで、 次に沼津での撮影は5日(水)海の見える道との設定で長井崎の旧道でミキサー車の走行シーンを朝から行いました。ドローンを使ったり後ろから追っかけで撮影したり。この長井崎での撮影後、内浦漁港にて走行シーンの合成映像をグリーンバック越しに撮り、最後は伊豆市の生コンクリート会社の近くで街中の走行シーンを撮影して終了しました。

 内浦小海漁港で事故!?

内浦小海漁港/水難事故取材中の砂田

 6日(木)に裾野で撮影し、この週末は静岡のTV局(静岡テレビ放送)設定で福島のTV局で撮影を行いました。11日(火)は裾野で撮影し、次の沼津での撮影は12日(水)となりました。

 この日は、午後から内浦小海漁港で水難事故を砂田がレポートするシーン。劇中のニュース映像として使用するわりに、撮影の規模が大きいシーン。ここでは駿東伊豆消防本部が全面協力。救急車、消防車を初め数台撮影の為に現場に来て、隊員もエキストラとして参加していただきました。ハリプロからも野次馬、カメラクルー、マスコミ、警官、鑑識役等多くのエキストラが参加。2~3秒と言われていたシーンでしたが、本編ではもう少し長く使用されていました。撮影自体は1時間30分ほどで終了。次の撮影は夜に裾野市役所での撮影でした。

スーパーカドイケ徳倉店で沙織里、圭吾がお買い物

 13日(木)は午後からスーパーカドイケ徳倉店で撮影。この日はちょうど店休日なので貸切。

 撮影は初め沙織里がスーパーで買い物するシーン。夜は圭吾が買い物し店の外に出て不良に絡まれるシーン。エキストラもレジ打ち、お客等で何人も入っています。撮影しているとお店がやっていると思った本物のお客さんが何人も駐車場に入ってきてしまいました。その方々には訳を話して帰っていただくことに…。撮影自体は問題なく終了しました。

沼津駅北口、再び

 この週末は愛知県蒲郡市での撮影のため、撮影隊は移動。18日(火)に裾野で撮影があり、次に沼津での撮影は19日(火)の沼津駅北口での撮影となりました。今回2回目の北口での撮影。エキストラは数を減らして約50人となりました。ハリプロからは約20人が参加。

 ここでの撮影は2年後の設定。沼津駅北口でビラを配る沙織里越しに走る砂田の乗ったテレビ局の車を撮影したり、テレビ局の車を牽引して撮影したり。最後は沙織里と豊がビラ配りをしているところに別の事件で行方不明になった娘とその母親との会話にシーンを撮影。

 午後は国道1号線で森下家の車の牽引での撮影を行いました。

仲見世商店街と東桃郷公民館

仲見世商店街と東桃郷公民館

20日(木)は午前に仲見世商店街で、午後は裾野で沙織里の実家設定での撮影。夜は東桃郷公民館という予定。

 まず、仲見世商店街の今は無き「とらや」で豊が交渉をして店のレジ横の柱にビラを貼ってもらいます。その後は商店街でビラを配ったり、掲示板に貼ってあった悪戯されたビラを貼り替えたり。 様々なシーンを撮影しました。

 午後に沙織里の実家のシーンを裾野市で撮影後、夜は東桃郷公民館での撮影になります。ここではボランティアにビラを渡したり、配ってもらうエリアを決めたりするシーン。ハリプロのエキストラに混ざり自治会長さん自ら出演、またご近所の方も多く出演していただきました。

内浦長浜で圭吾号泣の重要シーン

 21日(金)は裾野で撮影し、週末はまた、TV局の残りを福島まで行き撮影し、24日(月)から撮影最後の週となりました。

 24日(月)は内浦長浜の海沿いの道路で車を止めて沙織里と圭吾の車内での会話のシーン。圭吾が泣きながら沙織里に謝ります。当初、この場所は日の入り方の関係で別場所で行う予定でしたが、いい場所が見つからず結局この場所で撮影することに。私は他の撮影と重なってしまいここでの撮影は立ち会えなかったのですが、物語上重要なシーンで立ち会えなかったのはすごく残念でした。

沼津バッティングセンター、あずみ野、下香貫のアパート

雰囲気のいい喫茶店・あずみ野

 25日(火)は午前が沼津バッティングスタジアム、午後があずみ野(喫茶店)、夜が圭吾のアパートという日程。

 最初の沼津バッティングスタジアムはゲームセンターの設定。ここは以前、制作の人がドラマの撮影で借りたのを思い出し交渉しました。ここでは2年後の設定で砂田が不良にインタビューするシーンを撮影しました。

 あずみ野は雰囲気のいいコーヒーの美味しい喫茶店で、過去には秦基博さんのMVを撮ったところ。ここでは沙織里と砂田が会話するシーン。過去と2年後と2シーンあります。

 あずみ野での撮影が終わって圭吾のアパートへ向かいました。

口野で通学シーン

口野撮影中の小学生エキストラ

 26日(水)は1日圭吾のアパート。

 27日(木)は朝から裾野で小学生の通学のシーン。早朝にはラストシーンを撮影。次に沼津の口野近辺での小学生の通学シーン。ここでは場所を移動しながら学校付近の道という設定で砂田が小学生にインタビューしているシーンや沙織里が自転車に乗って横断歩道を渡るシーン等を撮影。小学生は裾野の撮影から何人か続けて参加していました。

中部浄化プラントは警察署に

警察署に変身!中部浄化プラント

 その後、圭吾のアパートを挟んで夕方から夜にかけて中部浄化プラントにて警察署の前でレポートする記者の三谷杏(小野花梨さん)のシーンを撮影しました。このシーンは沙織里と豊の家のリビングのTVから流れる映像です。

 当初は蒲郡で撮影するはずだったものが撮影出来ず、沼津での撮影になりました。中部浄化プラントは警察署設定で過去何度も撮影していましたが、この「ミッシング」では監督がもっと大きい建物がいいと希望され、本来なら撮影する予定はありませんでした。しかし、他での撮影が時間的にも厳しくなり急遽中部浄化プラントで撮影することになりました。夕暮れ狙いでの撮影ですが、前の撮影が早く終わっていて準備してからかなり待つことに。撮影自体はすぐに終わりました。

クランクアップ

 28日(金)は撮影最終日。国道で車を牽引しての撮影と圭吾のアパートの残りの撮影となります。牽引は沙織里と豊の車が蒲郡に向かうシーンと、テレビクルーの乗った車が国道を走るカットを2シーン撮影しました。朝から国道1号線で撮影したのですが、何度も往復しながらの撮影となりました。

 午後は残った圭吾のアパートでのシーンを撮影。ここが最後の撮影場所ということで初めてこのアパートでの撮影に立会いました。

 この日は砂田が圭吾の出勤前に家の前で待ち伏せするシーンと、沙織里がドアの前で圭吾を呼ぶシーン。ラストのシーンでは沙織里がドアを叩いたり大声で怒鳴ったり、近所に怒号が響きます。普通なら警察を呼ばれてもおかしくないぐらいの迫力で圧倒されました。これで全ての撮影が終了でクランクアップ。最後に主演の石原さとみさん、監督の挨拶がありました。

 今回の映画「ミッシング」の撮影は夜のシーンが少なくまた、𠮷田監督の撮影が早く終わることが多かったので非常にゆったりとした余裕のある撮影でした。夜もスタッフの皆さんが毎日街に繰り出してくれたようで沼津を満喫されたのではと思います。

この作品、現在はNetflixで配信されているので、興味のある方はご覧ください。(甘)

Netflixにて配信中
https://www.netflix.com/title/81720826

エキストラの感想

●4/20(木)はボランティア役でした。ボランティア役では公民館での撮影でした。夫役の青木崇高さんとの絡みで夫婦で後ろ姿が映るシーンでした。白板に沼津市の地図が貼ってあり、青木さんが指さすところで妻と頷いたり、私も地図を指して説明しているシーンでした。言葉を発しているときは青木さんの説明に答えていれば良かったのですが、パントマイムになった時に青木さんが頷くと夫婦で頷く、青木さんが地図を指差すと私も地図を指すという動きになってしまった時に、青木さんが[パントマイムあるあるなんですが・・・先程の動きはこうしたほうがいいですよ]と丁寧に教えてくれました。撮影の合間には話しかけて戴き「この映画は凄い映画になりますよ」と妻と私にお話ししてくれました。〈長澤誠司〉

●撮影時は大変お世話になりました。石原さとみさんが配るチラシを受け取る通行人として参加させて頂きました。出番が終わると、駅のベンチで座っていられたのですが、俳優さん達は私達が休んでる間もずっと立ちっぱなしで、何度も同じシーンを撮っていて、とても大変だと思いました。沼津の良さが皆さんに伝わると嬉しいですね!〈はらっちゃん〉

●自分のセリフや動きが、俳優さんの動き出す基準になっていたので、始まる前に何度も「いらっしゃいませ」を練習しました(笑)。目の前でお芝居を見ることができて、すごく楽しかったです!!〈めい〉

●4月20日、公民館にミウちゃんを探すチラシを配る為に集まった人達の撮影で参加しました。

エキストラなのでセリフなどありませんが「頑張ってね」「ありがとうございます」「お名前は」「渡辺です」「チラシは何枚?」「200枚頑張ります」…と、さとみちゃんと言葉を交わしたました。最高!カットされない事を祈ります。〈よっちゃん〉

●初めてのエキストラ参加で、どうしたらよいかわからず緊張しましたが、貴重な経験ができました。座って雑談しているようなシーンでしたが、ひとつのシーンにかける時間と人の多さに驚き、そこに参加できたことに感動しました。今までと少し違った視点で、完成した映画を見るのが楽しみです。〈Kazu〉

●息子と息子の友達家族と春休みに参加しました!まだ幼稚園児なので数時間の撮影は間がもたないと思い、ゲームやタブレットを持って。カメラが回っている時もゲームをしていたのを見たスタッフさんに、「ゲームのしすぎで親とはぐれる演技をしてください」と、演技というかそのままの設定を与えられましたが、中村倫也さんの真横でしたので子どもがはぐれてくれる設定は超ありがたかったです!!かっこよかった~~〈Kazu〉

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